数日振りに訪れたヨツバ本社の会議室には、窓などなかったし、屋外を連想させるようなものも何もな かった。ただ、外では雨が降っていた。袖がわずかに湿っていることがいやに気になった。アイバーは 誰にも気づかれない程度に顔をしかめる。 ビルの中にいれば、外で雨が降っていることなど、気にせずにいられるはずなのだが。 仕事に身が入らないなどめったにないことだった。少なくとも、彼は詐欺師としてプロであり、そのこ とを自負してもいた。多少のことで仕事に支障が出るようであってはならない。 あってはならないのだが。 「コイル? どうかされましたか?」 ふいに三堂の声がした。どうやら話を振られたらしい。アイバーは微笑った。 「失礼。そうですね、こちらのケースではキラは……」 いつもは愛想がないだけで、好かれているのだということは感じられた。奈南川の無愛想なのは表面的 なものだけであって、本当のところは自分のほうを向いてくれいているのだと。 「いかがでしょう? 奈南川さん」 今日はその真逆だった。奈南川は、明らかに営業用の、中身を伴わない笑みを向けてくる。もっとも、 もしアイバーが詐欺師という仕事をしていなかったら、彼の態度を友好的ととっただろう。 昨日のことが、やはり不味かったのだろうか。 強要など、しなければよかった。 「レイジ」 「何だ?」 「すまなかった」 「何が?」 「だから…昨日」 「何のことだ」 その日は雨が降っていた。 レイジは機嫌があまりよくなかった。 すぐに、ちゃんと笑ってくれるようになったけれど。

うあーー… また訳のわからないSSを書いてしまいました; 思いつくままに書いたらめちゃめちゃになると解かってはいるのですが、おおお(悩)。 もうちょっと、意味のある文章をかきたいです。