銃 見えるだろうか、あのせなに伸びる白い翼が。 黒く輝く銃身は美しい。 磨きぬかれた鉄の武器は、彼の部屋で、眠ったように 息を潜めながら、あの鳥を撃つためにある。 「キラは、」 一体、誰だろうな。 会話に詰まってそんな言葉が口を突いた。 思いもよらない事で、自分でも驚いた。まさかそこまで、自分がキラを恐れていたとは。 しかし、初めて会社からキラのことを聞かされた時、 (キラはお前ではないのか奈南川) ふと湧き上がった問いが今も、拭えないまま残っていた。 尾々井は奈南川の視線を背後に感じ、その鋭さに顔をしかめる。 振り返った先で、奈南川は、会社でいるのと同じように、腕を組んで、ゆったりと壁に背をもたせか けていた。 ブラインドの隙間から差し込んだ陽が、急に明るくなって、髪に、顔に、上品に仕立てられた上着に、 かかる。闇から浮き彫りにされたのは、奈南川の、キラに相応しい冷酷さと、キラであるにはあまり に気高い知性だった。 「尾々井」 冷えた水を浴びせかけるような声が尾々井に、肩越しに投げられる。 眉をひそめた顔の、その頬はどこか笑っているようにも見えた。 お前までそんなことを気にしているのかと、そんな声さえ聞こえた気がした。奈南川は一言も、喋る ことさえしなかったのだが。 尾々井はサングラスの置くの鋭い目を、奈南川にはわからないように細めた。否定するように、首を 軽く横に振る。 奈南川はキラではない。キラであるはずがない。 (お前はもっと利口な鳥だ) 銃を握っていた尾々井の指がゆるみ、金属と床がぶつかる硬い音が大きく響いた。 奈南川の無関心な目がそれとなく後を追った。 そうだろう奈南川。 誰かがキラと名乗り始めるよりもずっと前から、そんなことは知っていた。 天駆ける白い鳥は、今はまだそのままに。 いずれその体を休めに、彼の肩に降り立つ事もあるかもしれない。 またわけわからんくなった。最近小説を書いていると訳が解からなくなります。 書いてるものが訳解からなすぎて。 奈南川は基本的に遠い人、というかんじに書いてしまいます。何故? この二人は互いをあまり束縛しない、一見淡白なCPというイメージ。 二人の立場が対等で。そう、対等… なんで奈南川がこんなに遠いんだろう。死んで一年経ったからかな。