Check Mate. 「コイルが、死んだのだそうだ」 仕事の話のついでに、樹多の口からそんな事実が漏らされた。 「そう、か」 「ああ」 「では、私たちが殺されるのも時間の問題だな」 「…ああ」 ふいに、全身の力が抜けたような心地がした。 火口が殺された今では、もうほぼその存在価値を失くした、定例会議の後だった。 真っ先に部屋を出た奈南川を、何気ない様子で呼び止めた。 「奈南川。どこかその辺で茶でも飲まないか?」 「時間がない」 それは、どういう意味だったろうか。 「ここのコーヒーでもいい」 「解かった」 無理に奈南川をそこにとどめて、インスタントコーヒーを味気のない紙コップに注ぐ。こんなものを飲 むのはどれだけぶりだろうか。ひどい味に閉口しながら、仕事のことなど、意味のない会話を交わした。 「そういえば」 話題につまり、三堂は、今思い出したかのような様子を装って、コイルのことを口にした。 奈南川はそれを聞いても特に驚いた様子は見せず、低く、そうらしいな、とだけ言った。 「知ってたのか」 「まあ、な」 カップを口に運びながら、奈南川はあくまで無表情だった。三堂は舌打ちをした。 そのほうが頭にきた。その無表情さ加減に妬いた。 それは、奈南川が本当にあの男を好いていたということの、証明のようなものだった。 奈南川はいつも、必要以上に感情を表に出すことはしない。感情が強ければむしろ、却ってそれを隠そ うとするような傾向があった。 賭けなど止めておけばよかった。勝てるかもしれないなどと、望みを抱いたのがそもそもの間違いだっ たのだ。 どうやらコイルは、死んだというだけではリタイアしてくれないようだった。 (しかし、まあ) 少しは、情勢は三堂に有利なほうに傾いたわけで。 (これがチャンスであることは変わりないかもしれない) 三堂はカップの底に残ったコーヒーを眺めて苦笑した。 こんなことを喜んでいる自分はひどく浅ましかった。それでも、そうでもしなければやっていけなかっ た。 過ぎた願いだというのは解かっている、 しかし、もう少しだけでいい、時間がほしい。 祈ったのは、いったい誰に対してだったか。
また微妙な…(笑) 久々にヨンナミとかいってこれはアイナミなのかもしれないなあ、とか。 でもヨンナミだよね! ヨンナミだよ。 ヨンナミ萌え。 ちなみに、タイトルのチェックメイトっていうのは多分ライト様的にです。多分。えへ、よくわからな いや☆(キモ)