夢心地 「え」 目をあけると、それはそれは見慣れた目をした、見慣れない美女がベッ ドの横に立っていた。綺麗にカールされたつややかな黒髪。腕を組んだ 立ち姿はしなやかで、細身のスーツがよく似合う。 そしてやはり、涼しい目。 どちら様、でしたっけ。相手に聞こえないよう呟きながら、三堂はサイ ドテーブルの眼鏡を手に取った。ぼんやりと記憶の糸をたぐる。酔って たまたま絡んだ相手にしては、あまりにもタイプだった。タイプという よりまさに理想。 「三堂。いつまで呆けている気だ。夢心地でいるのもいいが、今日は歌 舞伎を観に行く予定だったろう」 聞き慣れた声。一気に眠気が覚めた。 「…えーと。奈南川?」 「お前にしては露骨なからかい方だ、三堂」 奈南川は不審さと不愉快さの入り混じったような表情で三堂を一瞥し、 懐中時計を投げてよこした。 「時間だ」 いつもは奈南川の知性だとか冷徹かつ優しい性格だとかに惹かれるのだ が、今日に限ってはむしろ美しい容姿のほうに目が行く。他は万事いつ も通り。 髪型ひとつでこれだけ印象が変わるとは思わなかった。 夢心地。 そう、正に夢心地だ。 タクシーに乗り込みながら、三堂はポーカーフェイスを保てない。昨夜 の記憶はずいぶん戻ってきていた。 奈南川が仕事で悩んでいるらしいのをいいことに、気分転換にと三堂が 無理に巻いてみたのだった。奈南川自身は、気分転換は歌舞伎だけで充 分だと、多少抵抗してみたらしかったが。 「あはは、奈南川、僕とお揃いだ」 「昨夜と同じことを言っている」 冷静な態度はいつもと変わらず、奈南川はガラスの向こう側を眺めてい た。今日の演目について話しながら、三堂はやはり微笑んだ。 こういうところが好きだった。それは、昔も今も変わらないことで。 「ねぇ、君のことが好きだよ」
excuse:リハビリ〜〜〜!!っという感じですが; 書いてみました 何か自分の妄想を書くってことがものすごく久しぶりで、まだ慣れない …笑笑” 奈南川と先生(ハリポタです♪)を混合してみようという計画でした 外見ほとんど変わらないで髪がストレートorカールという違いだけなの で♪笑 歌舞伎なのは、たんに瀬名が観に行きたいというだけです♪ 玉三郎ファン!笑笑 back. top.