壁と薄闇に融けて、驚くほど目立たない、その重い布を取り払うと、見慣れた大き
な鏡が姿を露にした。息が震えて直視することも出来無い。恐ろしい、懐かしい鏡。
ホグワーツの学生だった頃には魅了されて、中々離れることも出来ず入り浸ってい
たこの部屋にも、長く入ることもなかった。美化された思い出からは離れようと思
った。

何時からだったろうか、はじめて存在を知ったのは。何時からともなく、鏡は彼の
前にあった。

何時からだったろうか、毒薬や呪文で藻掻き苦しむジェームズ・ポッターが鏡に映
らなくなったのは。

今、そっと鏡に視線を移すと、そこには既に、くしゃくしゃの癖毛の、やわらかい
黒髪があった。眼鏡の奥の、いたずら気を含んだ笑った瞳も、意志の強さを示す濃
い眉も、全て脳裏に焼き付いたものと寸分もたがわないままそこにあった。
「ずいぶん幸せそうに、笑うのだな」
セブルスは言い聞かせるようにゆっくりと、言葉を紡いでゆく。
「私が、ここでこうして苦しんでいることも知らないで」
返ってくるのはいつもと同じ表情(かお)。心底喜んでいるときに、ジェームズは
いつもこんな顔をした。一番好きな顔だった。今も心の底ではそれを見たいと思う
から、鏡に映っているのだけれど。

お前がその中で笑っているから、私は責めることも出来無いじゃないか。そうして
ただ自己嫌悪に陥って、それでも泣くことも出来無い。

私はどうしたらいい?

「そんな風に、笑うな」
指が血色を失うほど、固く握られた拳が鏡にぶつかる。それは幾度もぶつかったが、
それに込める力が無かった為か、部屋には鈍い音が微かにどよめいただけだった。
「そんな風に、いつも、」


葬列でさえ、見知った顔が泣き崩れる中で、セブルスだけはその自然な行為を許さ
れなかった。ジェームズの天敵にさえ、その権利は与えられていたというのに。セ
ブルスが泣くのをジェームズは喜ばないから。例えそれが自分のためであっても。
葬列の中でセブルスはただ、僅かに残されたジェームズの欠片の納められた冷たい
黒い箱を見つめていた。











お前がそんな風に笑うから、私は知らない振りをして生きていかなければならない。
















あれ…なんかこれ破綻してない? 文章。 最初と最後つながってなくない…? 石は、投げないでやってください。 じぇいすね。はじめてじゃないでしょうか、このサイト。絵はかいたか。そういえば あの絵もみぞのかがみ系だったような気が…; そういうの好きなんか自分。みぞの 鏡系といえば、やなせまつばさんのサイトWILDER THAN HEAVEN内に それは素敵な絵 があるのですよ〜vvv うちからもリンク貼らせていただいています。ほんとイイ。 涙出る。 君が笑うから、というタイトルはちょっとむつかしかった。カプがなかなか浮かんでこ なかった。