鳥籠 「お帰り、セブルス」 ここが鳥籠の中だなどと、信じたくは無いのに。 ホグワーツを出て、色々なものを見てきた。 魔法使い、羽根の折れた梟、マグル、役に立つもの、立たないもの、成長していくもの、衰退し ていくもの、およそ世界を形作る総てのもの。 それほど沢山のものがあっても、どこにも居場所を見つけることは出来なかった。ホグワーツの 外に知人などいなかったし、ましてセブルスの能力を買って、受け入れてくれる者などいるはず もなかった。 「一度にいろいろなものを見過ぎて、疲れたのじゃろう。今は休むといい」 戻ってくる場所があることは幸せなことなのだ。自分などを迎え入れてくれる人間がいるという ことも、恐らく億に一つくらいの確率で。 それに甘えてしまう自分が醜く、けれどそのために涙を流すのも嫌で、どうしようもなくてセブ ルスは頭を抱え込む。 「レモン・キャンディーはどうかね?」 おもむろに、アルバスが隣にすわる。 彼の声は昔と同じように穏やかだった。 「泣きたいときは我慢してはいかんよ」 気遣うように、セブルスにだけやっと聞こえるような小さな声で言った。 セブルスは首を横に振る。 「そうでは無いんです」 それだけを言うのがやっとだった。顔にかかった髪を払うことすら出来なかった。 少なくともアルバスの前でだけは、醜態を晒したくは無い。 もしアルバスに甘えてしまったらそれが最後だ。そんなことをしたら彼はセブルスのことにかかり きりになってしまうだろう。これ以上迷惑をかけるわけにはいかない。セブルスにとって、それだ けが最低限、守るべき規則だった。 「今日はもう休みなさい。悩むのは明日からでも遅くは無いよ」 肩に優しい手が触れる。セブルスは体が震えるのを懸命に隠そうとした。 ここで期待を持って育てられたのに、ここに戻ってくるしか無い自分が恥かしく、情けなかった。 「すみません、アルバス……。もう戻ります。よくお休みになってください」 椅子がかたりと鳴る。セブルスは皺の浮いた大きな手を肩から外し、持ち主のひざにそっと返した。 ふらふらと、出口に縋るように歩く。道に迷った小さな子供になったような気分だった。 自分の後ろで、自分の手によって閉められたドアの音がやけに大きくきこえる。 廊下は暗く、無数に掛けられた肖像画達は物音一つ立てなかった。

なんだか意味のわからない話です。いっぱいいっぱいなんです(力量的に) ダンスネ好きです。はっきり言ってしまうと本命かもしれません。 同志の増えることを切実に望んでおります。誰か…!